家系家族史の作成とは

■愛と生命の伝承 家系家族史
 NHKの人気番組「ファミリー・ヒストリー」は大きな反響があり、視聴者から多くの問合せが来るといいます。
イメージ 誰しも“先祖の歴史”“家族の歴史”に関心があるもの、そして父祖の足跡を知ることで自分の人生にプラスの刺激が与えられることを期待します。
事実、父祖の人生や残した言葉は歴史上の偉人に劣らぬほどの「力」を与えてくれます。
ですので家系図作成に際して、自分の柱となっている「言葉」や「信条」を家系史に書き入れることをお客様に勧めています。 子孫にとってはそれが金言になるかもしれないからです。

 「老舗」と呼ばれる長寿企業は、創業者の精神が込められた「家訓」や先祖の歴史を記した「家譜」を大切に残しています。 ⇒参考「老舗と家系史」
そこに綴られているのは親から子、子から孫への愛と生命を伝える格闘の歴史です。
継続的に成長する企業はつねに変革し、挑戦的な経営をされています。 しかし、変えてはならない「創業の精神」「事業に対する志」があるといいます。
 「家訓」や「家譜」はそれを見つめなおさせてくれるのです。

イメージ  “家系は三代”ともいいますが、家系もしくは家業が四代、五代と続いていくことが容易でないことは多くの家系を調べてみると分かります。
経済的な成功や社会的地位の上昇などは、長い家系の中で一時期しかないことも多いのです。
「栄枯盛衰」「盛者必衰」とはまさに家系に当てはまる言葉です。

 つまるところ家族へ注がれる無償の愛、父母へ捧げる孝行の情、この愛の継承なくして家系はまず続いていきません。
先祖や家族に対する感謝や誇りなくして家系を守り、さらに責任を持って子孫へ繋げていくことが果たして出来るでしょうか。

 私は、家系が続いているのは“私以上に愛情が深く立派な人生を歩んだ先祖が多くいたから”と考えています。 家系家族史の作成は私に注がれてきた歴史的な愛を確認することであり、その責任を自覚することなのです。

■「家」の家系図から、「個」の家系家族史
 「家」の継承には、それを保障する家業や家産という物的基盤があり、それを心的に支えた「先祖祭祀」と「家系図」がありました。
 ところが戦後、社会制度や経済構造が変化するにともない「家」を支えた物的基盤(家業や家産)がない継承が増えてきました。 このことは「墓しまい」や「終活」に見られるように、「家」の継承のあり方にも変化をもたらしています。
 そして、家督を相続した本家ですら、世代を超えて継承する「家」への観念が希薄になっています。 このことは現地調査で「家」の記録が伝わらない現実を見聞きすることで痛感されます。

 一方で、将来への不安・ストレス・病苦・家族子育てなど、個人を抱える問題解決への道筋として「家系図」が用いられています。
 現在はむしろこちらに比重が置かれているといって良いでしょう。
 後述する「ルーツ・ヒーリング」「家系図供養」もその一つです。

■家族の力が試される時代
 これからは家族の重要性がますます増していく社会となっていきます。
敗戦以後、欧米的民主主義の影響を受けて個人の権利と自由が強調され、 価値観の多様性は尊重されてきました。
 奇跡的な経済成長を成し遂げ、先進技術と物質的繁栄がもたらした消費社会は、 際限のない金銭的・物質的な自己の欲望を満たす欲求を増大させてきました。 当たり前のように与えれた豊かな生活には決して満足できず、不安と不満に心が疲弊しています。 その結果、洪水のような情報をコントろールできず、家族の中でもバラバラです。

■自分の家系が消えていく
 現在、「家系が消える」という現実があります。
戸籍法施行規則等の一部が平成22年6月1日より改正され、 「除籍簿」の保存期間が80年間から150年間に延長されることになりましたが、 現実はそう安心していられません。
 ご先祖調べにとって戸籍資料は一級史料です。それがいずれ失われてしまう可能性があるのです。
「時間的な猶予ができた。のんびりやって行こう。」などとは考えないでください。

 除籍謄本には名前・生没年だけでなく、先祖の出身地や本家筋の消息など多くの情報が記されています。 とても貴重な資料なので、除籍謄本の取得は急いでやることをお勧めします。

イメージ  戸籍史料と並び、ご先祖調べに必須の資料が家に伝わるご先祖様の記録、先祖祭祀の記録です。 つまり、墓石・位牌・過去帳・文書記録のことです。
実はこれらの先祖祭祀の記録が急速に失われています。
墓地の建替えや仏壇の整理による古い記録の処分、転居や第三者への貸与による紛失、火災による焼失など、様々な理由で先祖記録が失われていっています。

 さらに悲しい現実は、このことに関連して無縁となる先祖が増えています。
墓地調査をすると、供養されることなく放置されている墓石を見つけることがあります。 その横には「この墓石の所有者はご連絡ください。○○寺」という看板が立っています。 看板があればまだ良い方で、墓石はくずれ、草木に覆われ、周囲からも忘れ去れた墓もあります。「魂抜き」が成されていたとしても、実に寂しい光景です。 墓地調査ではそのような無縁墓の中に、ご先祖様の墓を発見することもあるのです。

 次に跡継ぎの問題もあります。
ご存知のように、「本家を守る」「本家を継ぐ」ということは容易ではありません。 現地調査をしてみると、故郷を離れた本家筋は少なくありません。 仕事や経済的な事情で地元を離れざるを得ない場合もあるでしょう。 転居した本家の消息が分かれば良いのですが、絶家廃絶や消息不明になっているケースもあります。 本家には先祖の歴史を知る上で貴重な史料や伝承が残されます。 それが庄屋や町年寄、宿場本陣など、村全体の文書が残る旧家であれば、実に残念なことになります。 近年、郷土史研究が進み、自治体による古文書調査や収集が行われているとはいえ、不明となっている古記録は数多くあるのです。
実は菩提寺も跡継ぎの問題を抱えています。後継者不足だけでなく檀家の激減で経営難となり無住となる寺院があるといいます。

 さらに、先祖の伝承や逸話をよくご存知の古老と呼ばれるお爺さん・お婆さんが少なくなっています。
郷土史に明るい年配者の中には地元の歴史研究会で活動し、自ら伝承・資料を整理し、記録を残すなど、旧家文書にも詳しい方がいます。 また研究者の人脈も広く、古文書所蔵者や深い情報を持つ博物館学芸員を紹介していただくこともあります。
当然、自身の家系や地元旧家のルーツにも詳しく、独自の見解を持っておられます。 そのような郷土史家の方々から伺う話は大いに参考になり、刺激になります。
あと5年早く来てくれたらね」「お爺さんは詳しかったのにね」という現地調査をするとよく聞く話です。

 私の経験では、次世代は約3割の家系で江戸期の調査が出来なくなると推測しています。 このように“自分の家系が消えていく”という悲しい現実があるのです。

お問い合わせ

家系家族史の活用

家系家族史をどのように活用されているのか。
お客様の例も参考にしながら紹介してみましょう。

■癒しとしての家系家族史・・・「ルーツ・ヒーリング」
 弊社で「200年調査による家系図作成」「400年調査による家系図作成」を依頼されたお客様から「ルーツ・ヒーリング」ともいえる体験が報告されています。

 家系史作りは、自尊心や生命のつながり、愛情を確認する、その手助けになります。
医療の世界では、精神疾患の治療法の一つとして「ジェノグラム(家系図)」や「家族療法」が取り入れられています。 心理カウンセリングの分野では「家族システム論」によるカウンセリングが注目されつつあります。
弊社でも、うつ病に苦しむ家族から家系図作成の依頼を受け、「安心感」や「前に進む力」が与えられたという事例がありました。
 家系史作成を依頼された精神科医の先生から、「日本が導入している欧米流の心理療法や心理カウンセラーが、日本の小中学校に入ってから、 子どもたちがおかしくなった。忍耐力が無く、ストレスを発散することばかりを考えるようになった。 日本人には、伝統的な仏教の哲学が良いと思う。ストレスを発散するのではなく、昇華すると良い」との話を聞いたことがあります。

 さらに興味深い体験も報告されています。
具体的なことは紹介できませんが、「家系史の調査中に初めての子どもを授かった」「今までご縁がなかったのに家系史の調査中に結婚が決まった」 「家系史の作成以降、仕事上のトラブルが激減した」「家系史の作成以降、新しいご縁が広がり、会社・事業が成長した」などなど、 人生がプラス方向へ進んでいる内容が寄せられています。
 家系家族史自体に霊的な、スピリチュアルな力があるわけではありません。 しかし、家系家族史の作成を通じて依頼者が本来持っている何かが覚醒したと考えられます。
 このようなプラス体験をされる方には共通点があります。
 まずはご先祖様への敬愛、感謝の心があるということです。
 そしてご先祖様の歴史の良いことも、悪いこともありのまま受け入れておられます。
 家系家族史は先祖から与えられた善きDNAを覚醒させて、素晴らしい人生を見出す道しるべになっているのかもしれません。
 またかつて先祖が縁を持った趣味や学び、場所もインスピレーションや力を与えてくれるようです。これこそパワースポットかもしれません。

供養としての家系家族史・・・「家系図供養」
 家系を調べる動機に「先祖供養」があります。
 日本人には古来より「祖霊信仰」という信仰観があります。 清浄なご先祖様は一族・子孫を守護し、村人の安寧な生活を導いてくれると考えてきました。特に家祖や中興の先祖など「家」の創始と興隆に関係した先祖は特別に祭祀します。「先祖祭り」です。
 一方で、非業な最期を遂げた先祖は子孫に災いをもたらすとされ、長期的な鎮魂が必要と考えられてきました。
 日本人は氏神を祀り、墓石に参り、仏壇に手を合わせ、ご先祖様と共に生活していたのです。 家系図作成はご先祖様をより深く知ることにより、私たちの身近な存在としてくれます。 ⇒参考「ご先祖供養の家系図」

イメージ 例えば、笑顔で「○○さん、いつもありがとう」と心から感謝されたら嬉しいですよね。
逆に名前も知らず、その存在すら気づかれず、いつも無視されたら気分が悪くなります。
それは先祖も同じなはずです。

家系を調べることで先祖の名前や業績、時代背景が分かり、それを系図にすることで視覚的にも関係性が分かりやすくなります。
「この御先祖様がいたから私がいるんだな」「御先祖様ありがとう」「あなた方の子孫に生まれて良かった」といわれたら、先祖も嬉しいに違いありません。
『いのちのまつり』という絵本があります。お墓参りで孫のコウちゃんとお祖母ちゃんがご先祖様の話をします。
  「ぼうやにいのちをくれた人は誰ね〜?」
  「それは……お父さんとお母さん?」
  「そうだねえ。いのちをくれた人をご先祖さまと言うんだよ」
  「ねえ、おばあさん、ぼくのご先祖さまって何人いるの?」
コウちゃんは、ご先祖様の存在を通して「いのち」の大切さを感じていきます。
ご先祖様の存在は最高の道徳教育の場でもあります。

年に一度は一族会や先祖祭りを開いて、子孫一同そろって先祖を迎えて会食の場をもち一族の絆が深まったら、これも供養になると思いませんか。
そのスタートとして、家系図お披露目会を企画された方もおられます。

現地調査をすると、逆に本家の方が分家筋を探していたというケースがあります。
今まで北海道など遠方へ移転した方に数例ありました。
祖父の代までは交流があっても、世代が下がると所在地すら分からなくなります。
家系史作成を通じて、疎遠であった親族の間で交流が始まりましたという嬉しい報告もいただいています。
先祖からみれば、嬉しい光景ではないでしょうか。

■自分を遺すための家系家族史
イメージ 最近、自分史やエンディングノートが話題となっています。その中に家系の説明を入れる方もおられるようです。

自分の人生を振り返ることは、自分のこころを整理する作業になるといわれます。
日記を書く時を思い出しください。 楽しい思い出、勝利感・達成感がある体験、人にも自分にも自慢できる出来事などは 筆が進みます。 しかし、悲しくつらい出来事や屈辱感・敗北感がある体験は、なかなか書き残すことができません。
つまり、この書き残す作業は自分の人生を知らず知らずに肯定か否定かのジャッジしているわけです。
この書くという作業が、自分を客観的・俯瞰的に見つめ、過去の楽しい思い出やつらい体験すべてが、 私の成長に必要なものであるとして、肯定的にポジティブにとえることにつながっていくといいます。
家系家族史をつくる、つまり「先祖の歴史を書き残す」という作業にも同じことがいえます。
過去は変えることはできませんが、過去に対する見方を変えることはできます。 過去を肯定的に受け入れることで、感謝のこころの種を植え付けられるといえます。

イメージ エンディングノートは「終活」という言葉とセットで説明されます。
人生を終えるにあって、相続や遺品整理、葬儀やお墓など残る家族のためへの備えの目的が強いようです。 人生は自分のためのものではなく、家族として子孫へとつながっていきます。 つまり「終活」では「伝活」です。
子孫へ伝え残すという思いを軸として、「自分を遺す」作業に取り組んでいただきたいものです。

また、石碑に家系図を記し、家や一族の記念碑を建てている方がおられます。 背丈以上の大きさになり、2メートルを超えるものもあります。
墓誌に一族史と略系図を記される方もおられます。

■ライフ・ワークへ
熟年層の間で、退職後や余暇にコツコツとルーツ研究をされている方がおられます。
十年以上の歳月をかけて研究成果を本にして出版された方もおられます。
先祖が生きた当時の風景は残っていませんが、先祖の足跡を訪ねて、土地の水や空気に触れ、先祖が歩いただろう道や、 お参りした神社や路傍の仏像などを実際に見ることで、先祖をより感じることできます。

弊社のある京都には姓氏・ルーツ関係の多くの史跡が残っています。
先祖の「ルーツ探訪」として京都を楽しんでいただくのも、新しい京都観光の切り口です。
ぜひ先祖のルーツの土地を旅してください。

↑ ページの上部へ