戸籍からのご先祖調べ ~戸籍の解読4

明治31年式以降の戸籍も基本的には同じ構成になっています。

この要領で順番に解読していくと、戸主を中心とする系図が完成します。

ここで気がついた方もおられるかも知れませんが、古い戸籍簿(除籍簿)と新しい戸籍の間で記載内容が異なる場合があります。

戸籍は明治5年に原型が作られて以後、明治19年、明治31年、大正4年、昭和23年、平成6年に戸籍法が改正され、戸籍の形式は変化してきました。

この時、新しく作りかえられた戸籍と古い戸籍(改正原戸籍)との間に記載の間違いが稀にあります。

手書き資料なので、写し間違いがあるというわけです。

「生年月日」や「住所地の漢字」の間違い、住所地の記入もれ、名前や続柄の間違いがあることもあります。

また数年前のことですが、高齢者の所在不明が問題化したことがありました。

横浜市では戸籍上120歳以上の登録者が2247人、最高齢は天保11年(1840)生まれの170歳の男性。

大阪市では、戸籍上120歳以上の高齢者が5125人、最高齢は安政4年(1857)9月4日に生まれの男性152歳。

愛知県高浜市では、慶応3年(1867)生まれの142歳の女性が、戸籍上生存していることになっていたといいます。

この調査を全国規模で行えば、不明高齢者はかなりの数になったはずです。

横浜市はこれらの古い戸籍が残っている原因として、

(1)身元不明の死者のため本籍不詳により正当な本籍地に死亡届けができなかった。

(2)関東大震災(1923年)、横浜大空襲(1945年)で一家全員が死亡した。

(3)関東大震災、横浜大空襲で焼失した戸籍を再製する際、内容が不正確だった。

(4)(南米移民など)海外へ渡航した。

などと推定しています。

その他、過去帳や位牌に記された命日や俗名が、戸籍の記載内容と異なることもしばしば見受けられます。これは明治期に作成された戸籍に多い事例です。

かつて現地調査で戸籍の記述を信用するあまりにご先祖がつながらず、壁にぶつかっておられた郷土史研究家がおられました。

戸籍の性格を理解し、多方面からから資料を集めるべきという良い例です。

戸籍はご先祖調べに有益な情報を提供してくれますが、戸籍だけを鵜呑みにすれば大きな間違いを起こすことになります。

誤りが含まれている可能性があるとして戸籍情報は取り扱う。これはご先祖調査の鉄則です。

それでも戸籍は国が認めた公式の個人情報になり、事実証明の書類として法的に認められています。疑う方が無理かもしれませんが事実です。

ちなみ、戸籍訂正の手続きは以下のようになります。

届出者のミスの場合(役場のミス以外)は、家庭裁判所に戸籍訂正許可の審判を申し立てることになります。

家庭裁判所の許可がおりれば、一ヶ月以内に役場へ訂正届出を出し、晴れて戸籍の訂正が完了します。