戸籍からのご先祖調べ ~戸籍の解読5

戸籍の編纂により全国民は「苗字」を持つことになります。

多くの場合は江戸期の家名を戸籍に登録しましたが、なかには「苗字」が分からない者もいました。

この時に僧侶や庄屋などに新しく「苗字」をつけてもらった者もいます。これを「明治の新姓」といいます。

「明治の新姓」のパターンをいくつか紹介しましょう。

 1 主家や庄屋(名主)など土地の名家の苗字をもらうケース

    一部落が同姓という地域に多いようです。

 2 庄屋や僧侶などに新しく苗字をつけてもらうケース

    珍姓希姓がうまれやすいようです。

 3 屋号を苗字にするケース

    商家や町屋に多いです。「屋」を「谷」にかえることもあります。たとえば、米屋が米谷になるように。

 4 僧侶が苗字を持つケース

    仏教用語を使うことが多いです。

 5 分家した方角や本家との位置関係を苗字にするケース

 6 本姓の一字をかえて苗字にするケース

現地調査を進めていくと、戸籍の苗字とは違う本来の苗字が分かることがあります。

ちなみ戦国時代にも「苗字」の転換期がありました。

戦国時代は古き名家名門が没落し、下級身分の者がその実力と才覚で地位を得た「下剋上」の乱世です。

その武功により、名字を拝領したり、廃家となった重臣の家名を継いだり、 あるいは自ら「株」を買って名字を譲り受けたり、 名字の変遷はまさに家の栄枯盛衰をそのまま示しているといえます。

藩士系図や旧家に残る家伝系図をみると、その辺りがよく分かります。

家祖の記述には家の起こりについて書かれていますが、 苗字が変わっているケースが見受けられます。

このように苗字すら変わっているということを念頭の置いておく必要があります。

可能であれば戸籍と家蔵資料を比較検討し、家系図を作成することをお勧めします。